1/18 生活クラブ東京 まち玉川 で 新・おしゃべりキッチン

会場は世田谷センター。生活クラブ発祥の地。

【むかし話】
相馬会長夫妻が、そのむかし、40年近くも前になりますが、山形からはるばる世田谷センターに出かけたことがあったそうです。
しかも、2泊3日で世田谷センターにお泊まり!
現会長は、お泊まりの翌朝、生活クラブ顧問の河野さんと一緒に、牛乳配達を手伝ったとのこと。二人で懐かし〜〜〜!!と当時を振り返っていました。

2019年度のスタートは、まち玉川の皆さんと新・おしゃべりキッチン!
市販品と消費材の違いを、『安いものには訳がある』というテーマに沿って3生産者でお話をさせていただきました。

静かに準備は進みます
センターが会場だと良いことがあります。リユース瓶が丁寧に並べられて、回収を待っていました。また戻っておいで!
食べる人・利用する人たちが、その過程を目にできることは貴重なこと。消費材を大切に扱っていただいていると思いました。

今回も赤かぶ漬の汁をすべて使ったボルシチ風。
塩漬けにして酢漬けしてある赤かぶ。簡単には煮崩れないのが、ポイントです。

定番。和高スパイスさんのミックスハーブとの相性が最高。ハーブの香りが持続する訳を知りたい!

さて、今回もスライドを使って、循環型の農業とその精神、また、加工品である漬物ができる過程を駆け足でお話させていただきました。
「異常気象を感じることはありますか?」という質問があり、昨年の赤かぶや山形青菜の収穫量とその時期、生育スピード、降雨と種まきなどについて触れることができました。最も心配なのは、民田なすからし漬の民田なすという庄内地方の在来作物の小ナスはともかく、和がらしの収穫量が少ないために欠品予定だということです。(月山パイロットファームでは、和がらしも自社農場で栽培しています)

月山パイロットファームの民田なすからし漬は、そのレシピを完全に公開しても、おそらく日本国内で(つまり世界で)同じように作ることができる会社は無いと思っています。5倍の価格で買ってもらえるのであればともかく!
和がらしの収穫は過酷で、生産する人がほとんどいなくなってしまいました。それに加えて、近年の天候不順。例年、和がらしの背丈は2m以上になるのに、昨年は1m少し。そして、収穫量も減。

これまでの経験上、10人に食べていただいたら、1〜2人はリピーターになる民田なすからし漬。それほど個性的で、記憶に残る味わいなのだと思います。
どんなにご希望をいただいても、無いものは無いですから仕方ありません。そして、会社の存続自体も、避けがたいリスクに晒されることになります。

【静岡の練り物屋さん、こめや食品】

練り物は日本各地にありますが、実は地域によって製法が全然違うとのこと

お話は川崎さん。
こめやさんと言えば、伊達巻き!

すり身・卵・調味料すべてこだわった特別な伊達巻を10万本も出荷するというのですから、人気の高さがうかがえますね。アミノ酸などの化学合成調味料も使わないため、素材良さを素材の持ち味を最大限に引き出す努力、そして防腐剤を使わないために、品質管理も徹底せざるを得ません。
漬物は酢や塩、唐辛子等で、ある程度の菌類の繁殖を防いだり、他の有用な菌類を優先的に培養する策がありますが、生の卵やすり身を扱うのは段違いの気遣いが必要なります。

また、原料についても貴重なお話を聞くことができました。
練り物はスケソウダラも原料にしますが、最大の輸入先はアメリカ。アメリカでは、スケソウダラの漁獲時に専門家が漁船に乗り込み、直に魚を調査。その結果に基づいて、次年度の漁獲高を決めていくという方式が採用されているとか。
桜えびが水揚げされない状況(大幅な漁獲量の減少)と比べると、全然違います…
アメリカでは漁獲量も調査に基づいて決められ、漁獲制限の違反者には厳罰があることから、行政や専門機関主導で資源を守る姿勢がうかがえます。

水産資源も農産物と同様に、気候変動の影響を受けます。
やはり、個々の生産者の努力とは別に、より大きな長期的な視点に立った、適確な保護育成が必要だと感じました。現場押し付け型では、当然限界があります。

【明太子の泰山食品商行さん】

お話は、山崎さん。語り口調は穏やかですが、時折挟むピリッとしたブラックな冗談が絶妙です。まさに泰山さんの明太子のお味のような!
添加物なしで明太子を作ること自体が、そもそもの挑戦。業界常識からは考えられないことのようです。そうですよね、何と言っても魚卵です。事故が起こらないような徹底した品質管理と原材料へのこだわり無くして、自然な味わいの明太子の開発はできないでしょう。

特に、大手メーカーが、真子と呼ばれる最高級品を原料とせずに、あの手この手で美味しそうに見える価格の安い商品を開発しているリアルなお話。

涙ぐましい努力で価格を上げて(あるいは下げて)利益を確保するのが企業ではありますし、目の前の提示された価格で安さに負けるのが日本人の心理かと思いますが、生産にも消費にも、時間軸が足りていない気がするのは私だけでしょうか。

試食していただくことで初めて伝わること

試食していただくと、「これ好きなんです」というありがたいお声がけに加えて、「漬物って買ったことがなかったのですが、こんなに美味しいんですね」という声。特に若い方、組合員になりたての方から、このような声がけをいただくことがあります。

そうなのです。カタログやネットで美味しさを訴えたとしても、食べていただくのにはかないません。

現在、漬物全体のイメージが非常に悪いのも確かです。醤油や味噌、酢も同様で、本来とても身体にも良いはずのものが、美味しいというイメージを持たれていません。
ましてや、お金を出して買おうということには、ならない訳ですね。

このイメージを形成したのは、一体だれ?どこに原因が?

今回も、当日までの企画、そして当日も朝早くから会場設定と試食作りにご協力いただいた組合員と職員の皆さんに、心からの感謝を申し上げます。
参加いただいた方々も、どうもありがとうございました!

今後とも、忌憚のないご意見やご感想をお待ちしております。(文責:いずもじ)